ニューヨークの通勤客6月の米国雇用統計はさらに回復の度合いを強めたが、コロナ禍は底を打ったといえるのか Photo:Stephanie Keith/gettyimages

7月2日に発表された2020年6月の米国雇用統計は、改善に転じた5月からさらに回復の度合いを強めた。新型コロナ禍によって悪化した雇用環境はすでに大底を脱し、回復過程にあることが確認された。一方、回復過程にあるものの、コロナショック前に比べると依然として厳しい状況が継続、回復もまだら模様である。さらに足元では、経済再開によって新規感染者が再び増加に転じており、感染抑制と経済再開のかじ取りの難しさを改めて認識させられた状況だ。今後は感染状況を睨みながらの経済再開となるため、これまでのような一本調子での雇用改善は見込みがたい。(伊藤忠総研 主任研究員 笠原滝平)

予想より早く回復のすそ野が
広がった6月米雇用統計

 2020年6月の米国雇用統計では、最も注目される非農業部門雇用者数が前月から+480万人増加した。5月に続き雇用者数が増加したことから、雇用環境は大底を脱し、回復過程に入ったことが確認されたと言えるだろう。

 業種別では、民間サービス部門が引き続き増加の大宗を占めた。具体的には、5月に急増した飲食サービスが高い伸びを維持、小売業は増加ペースを加速させた。

 また、5月には多くの業種で増加が見られた中、減少が継続していた宿泊業も6月にはようやく反転増加に至った。経済活動の再開が進み、6月はより幅広い業種で企業活動が持ち直し、雇用環境が改善している姿がうかがえる。

米国の雇用環境、大底を打ち急回復中でも先行きが不安な理由