米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」の注目記事の要点を短時間でまとめ読みできてしまう『WSJ3分解説』。今回は、新型コロナウイルスの感染拡大によって「雇用崩壊」真っただ中にある米国の惨状に焦点を当てます。日本よりも貧富の格差が激しく、従業員を解雇しやすいとされる米国では、コロナ禍による「雇用格差」と「新型リストラ」が進行しているようです。その実情とは?(ダイヤモンド編集部副編集長 鈴木崇久)
2週間で1000万人が職を失った
「雇用崩壊」真っただ中の米国
新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界第1位の経済大国である米国で「雇用崩壊」が起きています。
4月3日、米労働省が発表した3月の米雇用統計によると、特に注目度が高い「非農業部門雇用者数」は、前月の27万5000人増からマイナスに転じ、前月比70万1000人減少しました。雇用者数が減少に転じるのは9年半ぶりのことで、市場予想の「10万人減」を大幅に上回る落ち込みとなりました。
また、失業率は前月比で0.9ポイントもの悪化となる4.4%。1カ月での上昇としては1975年以来最大の上昇幅で、こちらも市場予想3.8%を上回る悪化を見せたのです。
しかし、こうしたひどい数字も「序の口」とみられています。というのも、ここ2週間にわたって発表された米国における失業保険の新規申請件数が、衝撃的な結果をもたらしたからです。3月26日には328万3000件、4月2日には664万8000件を記録。この数字は、2週合計で1000万人に迫る労働者が職を失ったことを物語っています。
失業保険の新規申請件数におけるこれまでの過去最多件数は69万5000件(1982年10月)だったので、言葉通りケタ違いの「雇用崩壊」が起きているといえます。そして、その直近の惨状を反映するのは5月に発表される4月の米雇用統計であるため、3月の結果はまだまだ「序の口」というわけなのです。
そして、米国の雇用崩壊は業種によって“まだら模様”を描いており、そのことが残酷さを際立たせています。その様子を浮き彫りにしているのが、米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」の次の記事です。
●「ウォール・ストリート・ジャーナル」より
>>リモートワークが広げる雇用格差、雇用統計で鮮明に