いまだに自民党とバチバチの火花を散らす関係の小池氏にとって、二階氏が「後見人」ともいうべき心強い味方であることは有名な話だが、実は石破氏にとっても同じようなポジションになりつつある。『文藝春秋』7月号のインタビューで、石破氏が「自身の国家観に二階氏が理解を示している」と述べたことや、石破氏と会談をした二階氏が、「将来、さらに高みを目指して進んでいただきたい期待の星」と持ち上げたことから、ここにきて両者の距離が急接近していると言われているのだ。

 この背景には、石破・小池という人気政治家の「後見人」になることで、党内の求心力を揺るぎないものにしようという二階氏のキングメーカー戦略があるように思える。環境相になってから「薄さ」を指摘される小泉進次郎氏と異なり、ポスト安倍のアンケートでは石破氏は不動の1位。その石破氏と、同じく330万票獲得の人気者・小池氏をツートップとして擁すれば、二階氏の影響力はさらに強まっていく。

 そうなれば、安倍一強に不満を抱く党内勢力も寄ってくる。つまり、それぞれの道で独自の存在感を示していた「旧新進党トリオ」がここにきて合流し、「天下取り」を仕掛けているようにも見えてしまうのだ。

 もし次の選挙で大きく議席を失えば、これまでの安倍一強の原動力となった清和会、長く政権を支えた麻生派、ポスト安倍の最有力と言われた岸田氏率いる宏池会は、影響力を弱めるだろう。そのとき、二階派を率いる二階氏と手を組んだ無派閥グループを束ねる菅義偉官房長官、そして竹下派が、石破氏を担ぐ可能性はなくはない。相次ぐスキャンダルや、麻生氏の放言でイメージの悪い安倍自民から、「生まれ変わった自民党」をアピールする「顔」として石破氏は適任だからだ。

 二階氏に近い小池氏も、この座組みに乗っかったのではないか。そう考えれば、ここにきてやたらと政府に噛みつくような姿勢を見せるのも、納得がいくといえまいか。

「旧新進党トリオ」が政界を
牛耳る日も近いのでは

 自民党大物議員もよく登場する、永田町界隈では知る人ぞ知る『月刊公論』(財界通信社)という月刊誌がある。その中に「リレー対談」という名物企画がある。対談に呼ばれた人が次の対談相手を呼ぶという、『笑っていいとも!』のテレフォンショッキングスタイルだ。

 その「リレー対談」に昨年末、石破氏が登場した。そして、次に対談相手として指名したのは二階氏だった。これだけでも、なかなか思うところのある組み合わせだが、さらに驚くのは、二階氏が次に呼んだのが小池氏だったということだ。

 コロナ以前からこの旧新進党トリオの「タスキ」は繋がれていたのである。

 石破氏は「地方が発展していくことこそが、この国の発展に繋がる」という信念の持ち主で、「地域分散・内需主導」型の国家を掲げている。東京都知事という立場であるにもかかわらず、小池氏が「東京差別」を煽り、「地方」にやたらいい顔を見せているのか不思議でしょうがなかったが、次期自民党総裁の国家観への「政治的配慮」と捉えれば合点がいく。

 政治の世界は何が起きるかわからない。「石破総理、小池官房長官」などという冗談みたいな組み合わせも、「あり得ない」とは言えないのではないか。

(ノンフィクションライター 窪田順生)