ドナルド・トランプ米大統領は中国との貿易戦争で、少なくとも目標の1つは達成しつつある。米国の対中貿易赤字は過去1年で、2012年以来の低水準に縮小した。ただ残念ながら、赤字の減少は、中国の対米輸入が増えたからではなく、米国の対中輸入が減ったことが要因だ。中国の輸入低迷は、中国が米国だけでなく、世界各国との間で貿易黒字を抱えているという根本的な理由によって起きている。つまり中国は「過少消費、過剰貯蓄」なのだ。中国が抱える全体の黒字が、対国内総生産(GDP)比で過去10年に著しく縮小したことは確かだ。しかしながら、GDP自体が巨大化しており、とりわけ製造品の黒字は依然として相当な水準に高止まりしている。中国のGDPに占める消費の割合は4割にも満たず、主要経済国の中では極めて低い水準だ。こうした不均衡が解消されない限り、トランプ氏が再選を果たせなくても、貿易摩擦が消えることはないだろう。
中国の減らない黒字、貿易戦争リスクも消えず
中国は「過少消費、過剰貯蓄」であることが根本理由
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