ドナルド・トランプ米大統領が世界保健機関(WHO)脱退に向けて動き出したことをわれわれは責められない。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)のさなかにWHOが犯した数々の失敗は、型通りの非難を超えた反応に値するものだ。だが通告するだけでは十分でない。米国務省は7月6日に国連に対し、米国が2021年7月にWHOから脱退すると正式に通告した。トランプ氏は米国がWHOに拠出していた年間4億ドル(約430億円)を超える資金を、公衆衛生で必要とされている他の部分に投じると述べたが、詳細は示していない。「米国が、大きくなりつつある世界の保健問題に関与すれば、米国人はより安全になる」。ジョー・バイデン前副大統領は7日、こうツイートした。「私は大統領就任初日にWHOに復帰し、世界の舞台でわれわれのリーダーシップを取り戻す」。世界のリーダーシップというくだりは虚言だ。加盟とリーダーシップは同じではない。特にWHOのような国際機関が最大の資金拠出国を不当に扱うような場合は。