外国人材の「早期離職問題」
根本的な要因とは?

 こうした外国人の離職問題は、数字以上に深刻な課題をはらんでいる。「外国人を積極的に採ってもどうせ定着しない」と考えた企業は、留学生の採用を消極化させるからだ。このようなステレオタイプから来る差別のことを、経済学では「統計的差別Statistical discrimination」と呼ぶ。これは企業からすれば合理的な判断に見えてしまうので、差別の中でも非常に厄介なものだ。

 実際、日本の就活情報は「日本語」で埋め尽くされており、多言語対応したサイトはほとんど見当たらない。外国人留学生を迎えている企業は多いものの、多くは「積極的な採用」ではなく、「同じ門を開けておく」レベルにとどまっている。定着についても、特に外国人材向けのサポートは実施せず、日本人と同じ扱いをするという企業が目立つ。果たして外国人材の定着は、そうした非積極的な対応でうまくいくのだろうか。

 そこで今回は、日本で正規雇用として就職した外国人の新入社員を対象とした調査データ※注2から、早期離職の根本的な原因について探ってみたい。
※注2:パーソル総合研究所×CAMP共同調査「留学生の就職活動と入社後の実態に関する定量調査」

 日本の大学に来ている外国人留学生は、最初から企業に対して不満を持っているわけではない。むしろ、日本人よりも内定承諾満足度や入社直後における企業への満足度は高い。だが、入社3年以内の「現在」と比較すると、内定時から徐々に満足度は「下がっていく」線を描く。その下降の度合いまで、日本人と同様だ。