新型コロナウイルス感染拡大の影響により、コーヒービジネスに異変が起こっている。全体の消費が微減する可能性がある中、家で楽しむコーヒーの需要が激増。コーヒー市場の新しい明暗が浮かび上がった。特集『沸騰するコーヒービジネス』(全5回)の#1では、コロナ禍で明暗が分かれたコーヒービジネスの実態を探る。(ダイヤモンド編集部 塙 花梨)
コロナ禍で沸騰!
コーヒービジネス
「売り上げが7割以上減ってしまった」――。1946年創業のコーヒー豆店ヤマモトコーヒー店の店主、山本剛正氏は悲痛な声を上げる。「コロナ禍前は観光客が来店者の半数を占めるほどだったが、20分の1以下に。東京・新宿駅前という好立地が一気にデメリットに変わってしまった」(山本氏)。
全国的には店舗休業の影響で、缶コーヒーの需要は1割減、業務用の需要は5~7割も減った。
コーヒーと経済は関係が深く、「GDP(国内総生産)が0.1%低下するごとにコーヒーの需要も0.95%低下する」という定説があるほど。世界的に見ても、コロナ禍による打撃は大きい。総合商社のコーヒー担当者によれば、「近年は毎年2%ほど消費が増加する傾向にあったが、カフェの営業店舗閉鎖などにより、今年の消費は減少する見込み」だ。
ところがである。家での消費量は圧倒的に増えているのだ。