コーヒービジネス#3
イラスト:三平悠太

あなたの手元に一杯のコーヒーが届くまで、川上から川下へ向かう間にあらゆるプレーヤーがひしめき合っている。特集『沸騰するコーヒービジネス』(全5回)の#3では、コーヒーの商流を完全図解する。また、大きく三つの波に分けられる日本のコーヒー近代史を年表で振り返っていく。(ダイヤモンド編集部 塙 花梨)

「週刊ダイヤモンド」2020年7月4日号の第2特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

「一杯のコーヒー」が届くまで
日本の商流と近代史

「神は8日目にコーヒーを創造した」――。こんな神話があるほどに、コーヒーのルーツは奥深い。

 諸説ある起源の中でも、アフリカ・エチオピアに伝わる羊飼いカルディの伝説は有名だ。カルディが、木になった赤い実を食べたヤギが踊りだすところを目撃。自分も試しに食べてみたところ気分がすっきりし、それ以降眠気覚ましとして広く使われるようになったというものだ。実際、アラブ首長国連邦では1100年ごろのものとみられる炭化したコーヒー豆が発見されており、イスラム圏ではかなり古い時代から愛飲されていたようだ。

コーヒー
イラスト:三平悠太

 戦後のコーヒー史は大きく三つのウェーブに分けられる。インスタントコーヒーの発明により、コーヒーが大量生産・大量消費された「ファーストウェーブ」、米スターバックスの登場により、高品質の豆を深いりで焙煎し、カフェでおしゃれに飲む「セカンドウェーブ」、そして産地ごとに異なる豆の個性を味わうため、ハンドドリップで入れる「サードウェーブ」だ。日本は、このウェーブの影響を数年遅れで受けながら独自のコーヒー文化を形成してきた。

 そんな特有のコーヒー文化を築く内側には、「商社」「焙煎所・メーカー」「小売り」のプレーヤーがおり、大小二つの商流に二分される。総合商社が大量の生豆を取引し、大手の焙煎所やメーカーへ流れ、スーパーマーケットや大手カフェチェーンへ行き着くというのが大きい商流だ。対して、専門商社が小規模農家から仕入れた豆を自家焙煎業所や個人経営のカフェなどへ流すのが、こだわりある小さな商流だ。

 以下、日本のプレーヤーと近代史を具体的に見ていこう。