新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン開発が成功すれば、何兆ドルもの経済押し上げ効果があるかもしれない。だからといって、ワクチン関連株を取引している投資家は、大きな分け前を期待すべきではない。パンデミック(世界的大流行)との戦いの進展を示す心強い兆候が出ている。オックスフォード大学と英製薬大手アストラゼネカが開発中のワクチン候補は、20日発表された初期臨床試験の結果によると、好ましい安全性が確認され、有効性にも明るい兆しが見えている。米製薬大手ファイザーやバイオテクノロジー会社モデルナ、中国の康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)など、他社も良好な暫定結果を発表している。進展に期待が持てることは間違いないが、投資家は既に、各社が役目を果たしたかのような評価を与えている。モデルナは20日の取引で大きく売り込まれたにもかかわらず、株価は3月から3倍に跳ね上がり、ここ1カ月では30%高となっている。一方、超大型株のファイザーやアストラゼネカは過去1カ月でそれぞれ約10%上昇した。こうした価格水準では、治験が成功し、近く何十億ドルもの売上高につながると投資家が見込んでいることになる。ファイザーは直近の株高で時価総額が200億ドル(約2兆1400億円)近く膨らんだ。