在宅医療の最前線を支える米国由来の医療助手「PA」とは?Photo:PIXTA

コロナ禍で需要が高まった
「在宅医療」

 コロナ禍で入院患者への面会が制限されたこの4月。退院を急いだり、入院を思いとどまる人たちが増え、在宅医療への需要が高まった。訪問診療に特化した「やまと診療所」(東京都板橋区)にもこうした問い合わせが次々届いた。

「面会ができなくなりそうなので退院したい。その後、自宅での診療をお願いしたいのですが」――。白血病末期の80代の男性の娘からの要望もそうだった。同居していたが、その時は入院中だった。退院後に連日医師たちが訪問。8日後に穏やかに息を引き取った。

 こうした事例が増えたため、4月の新規患者は通常より4割増となり、100人ほどに達したという。

 同診療所は在宅医療の世界で今、注目を集めている。ホームページの冒頭で大きく「自宅で自分らしく死ねる。そういう世の中をつくる」と、「自宅死」と堂々とうたう。医療機関が「死」を掲げるのは珍しい。しかも「世の中」を変えようという意気込み。幕末の勤皇志士のようだ。

 患者数を急激に伸ばし、年間看取り数で全国の診療所でトップグループに入った。そんな「やまと診療所」の訪問診療に7月3日、同行した。