日本で毎年12月から翌年3月まで流行するインフルエンザでは、約1000万人が感染し、直接死で約3000人、関連死を合わせると約1万人が死亡している。

 例年に比べて流行しなかったとされる今シーズンも、ピーク時には1週間に500人程度も亡くなっていた。

 これに比べて新型コロナは7月31日現在、日本では感染者が3万7035人、死者が1026人(クルーズ船を含む)だ。

 7月初めから東京都を中心に新規感染者(PCR検査で陽性と判定された人)が急増し、政府が緊急事態宣言を出した4月を上回ると指摘されているが、当時と比べて2つの点で大きく違っている。

 1つはPCR検査数の増加だ。東京都を例にとると、4月初め頃の1日の検査数は500件に満たなかったが、7月には1日に3500件以上、多い日は5000件を超す日もあった。

 PCR検査が増えれば、陽性者も増えるのは当然だ。

 また、検査を受けた人も4月ごろは高熱が続くなど重い症状が出た人に限られていたが、最近は無症状の若年層が6~7割を占めている。

 2つ目の違いは重症者と死者が極めて少ないことだ。

 累計感染者が1万人を超えた東京都では、感染者が急増しているにもかかわらず、重症者と死者は少ない。7月31日現在の重症者は16人(4月28~29日は105人)、7月中の死者は16人(4月104人)が報告されているだけだ。

「98%は無症状や軽症状で終わる」
毒性弱く、多くが自然免疫で克服

 なぜ重症者と死者が少ないのだろうか。

 この背景や要因について、前出の高橋教授はこう説明している。(高橋泰ら『新型コロナの実態予測と今後に向けた提言 上・下』〈「社会保険旬報」2020年6月21日号、7月1日号〉)

 教授によれば、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスには以下のような違いがある。

 インフルエンザは毒性が強いので、曝露した場合、多くの人が自然免疫では克服できない。

 2日~1週間で獲得免疫(新しい病原体が侵入してきたとき、その病原体を他のものと区別して記憶し、同じ病原体が侵入してきたとき排除する仕組み)が発達し、インフルエンザウイルスと戦う。

 その際、発熱などの風邪症状が出る。多くの人は1週間~10日で回復するが、中には肺炎などになり、死に至ることもある。