「最もハードルが高いと感じたのが、実際に体温が37.5度以上のお客様がいた場合にお帰りいただくオペレーションだ。わざと、どうしても参加したいとおっしゃるお客様を想定したところ、対応はハードルが高いと感じた。最終的には弊社と文書を交わした後で新郎新婦にご判断いただくことにしたが、これはロールプレイングで気づいた点だ。
その他、3時間マスクをし続けてスタッフが業務にあたることは想像以上に大変であること、実際にお客様が飲酒した状態でさまざまなルールが保てるのか、実際に行うことで課題が見えてくれば、それに伴ってマニュアルは今後もアップデートしていく」(岩瀬社長)
こうして人と人との接触を少しでも減らす中で同社が提案するのが、披露宴を2回に分ける「2部制」だという。例えば、会場を丸1日貸し切り、午前中は親族を対象にした披露宴、昼頃に挙式、そして午後からは友人や会社関係の招待客向けの披露宴を行うといったスタイルだ。全体の招待客は減らしたくないが、安全にも配慮したい場合には一考したい方法だろう。
第2波への不安高まる中
資金繰りで体制整え積極策へ
こうした対策を行った上で行われている同社の挙式・披露宴の件数は、昨対比で、6月は約5%、7月は約10%、8月は20%弱にとどまっており、しかも20人程度の少人数のものに限られている。
現時点では、9月になると前年の80%程度にまで回復し、10月、11月はコロナ禍で延期した顧客も多いため前年よりも多い状態だというが、第2波や第3波への不安が高まっており、さらなる延期を希望する顧客が増える恐れもある。
「2月下旬から3月中旬にかけて、経営としてはワーストシナリオを想定して資金繰りを行い、年内はワーストシナリオ下でも乗り切れる状態になっている。こうした中でできるのは、社員がお客様から信頼される行動を取れるように、我々経営陣が社員から信頼される判断をすることだ」(岩瀬社長)
同社は実際に、4月に100億円の当座借り越し契約を、6月には計100億円の長期資金の借り入れと当座借り越し契約を各金融機関と締結した上で、以下のような対策を打ち出したり、積極的な戦略を取ったりしている。