新型コロナウイルスの影響を最も受けている業界の1つが、ブライダル業界だ。感染拡大の第2波、第3波が不安視される中で、ブライダル業界はどのように生き残りを図っているのか。また、新しい生活様式が求められる中で、どのように結婚式は執り行われているのか。ブライダル業界最大手のテイクアンドギヴ・ニーズ岩瀬賢治社長に、ブライダル業界が直面する厳しい状況と合わせて話を聞いた。(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)
キャンセル料や延期費用は「原則無料」
3月挙式1200組の半分が延期に
コロナの感染拡大を受けて結婚式をキャンセルしようとしたら、多額のキャンセル料を請求された――。こうしたトラブルが増加する中で、いち早く対策に乗り出したのが、ブライダル業界最大手のテイクアンドギヴ・ニーズだ。
同社は、国内でもコロナ感染者が確認され始めた2月中旬の時点で、自己都合を除き、キャンセル料や延期にかかる追加費用は原則無料で対応することを決めた。
「2月4週目になると、3月に挙式を予定されていたお客様を中心に(コロナを心配して)問い合わせが増えた。また、参列者の方から『式場として結婚式を中止にしてくれないか』という声も寄せられていた」(テイクアンドギヴ・ニーズ 岩瀬賢治社長)
こうした対応などにより、3月に予定されていた約1200組の挙式披露宴のうち、約600組が6月以降へ延期に。その後、4月1日には同社が運営するレストランの営業自粛、6日には緊急事態宣言中は全ての結婚式場で営業を自粛することを決めた。
「もともとノロウイルスやインフルエンザについては、対策マニュアルを詳細に作っていたが、今回のコロナには丸腰の状態だった。“人が集まることが問題”だという社会の流れ、ワクチンや治療薬のような解決策がない中で、対策を行うのは大きなハードルだった」(岩瀬社長)
営業自粛期間には対策を練った上で、6月1日からは随時、同社が運営・運営受託する結婚式場での挙式・披露宴を再開したが、新しい生活様式の下で行う同社の「新しい結婚式」とはどのようなものなのか。