まず、結婚式のキャンセル料や日程変更にかかる費用の見直しだ。これまでこうした費用に関する規約は、非常にわかりにくく、冒頭でも取り上げたようなトラブルの元になっていた。それを今回、わかりやすい形に変更することになったという。
具体的には、費用算出の基になる金額については、従来の「その時点で顧客の手元にある最新の見積もり」から「契約時の見積り/請求金額」に。日程変更料・キャンセル料は、日程変更やキャンセルの連絡があった日から結婚式当日までの期間で金額が異なるが、結婚式まで11日~90日の期間を中心に見直しを行い、時期や条件によっては最大で80%金額を下げたという(以前の規約と金額変更のない時期や見直しの幅が少ない時期もあり、上記は一例)。
次が、M&Aなどによるシェアの拡大だ。現時点でも、全国から10を超える結婚式場などの事業譲渡の案件が同社には舞い込んでおり、「式場を増やすのは必ずしも目的にしてはいないが、固定費を増やすことなく、当社がシェアをアップする機会になる」と岩瀬社長も意気込む。
さらに、ホテル事業の拡大にも力を入れる。同社は、17年5月に初めてのホテル「TRUNK HOTEL(トランクホテル)」を渋谷区神宮前(原宿)に開業し、23年春には同区富ヶ谷での開業も予定している。25年、26年には、インバウンド需要の回復を見据えてさらなる開業も視野に入れているという。
「今回のコロナ禍で、2月中旬からは毎日のように役員4人でオンライン会議を行い、最悪のシナリオを想定することで、迅速に対応することができたし、今後もそうしていく。ただし、最悪のシナリオを考えるのは経営陣だけでいい。現場の社員には前向きに動いてもらえるようにしていきたい。
また、キャンセル料や日程変更にかかる費用を原則無料にした結果、キャンセルしたお客様は5%程度で、今も挙式を望んでいるお客様は多い。確かにプランナーとの接触回数を減らすためにSNSや動画などデジタルツールを活用したお客様への情報発信やコミュニケーションを強化していくが、当社では全てオンラインというような挙式は考えていない。やはり大切な人が同じ場所に集まることでしか提供できない価値を今後も提供していきたい」(岩瀬社長)