前回の当欄は「当面の妥当株価の上限に近く、注意が必要な時期に差し掛かっているとみる」と結んだ。
日経平均株価は6月8日に2万3178円の高値を付けてそこからやや下落したものの、下値は日本銀行と海外勢が買い、上値は個人投資家が売るという状態になっている。
加えて、現在の株式市場に対しては、強気と弱気の両方の見方をすることができる。強気派は新型コロナウイルス感染拡大の影響を、強力な財政出動とそれを支える金融政策の組み合わせで乗り越えることができると考えている。それに対して、弱気派は経済政策が新型コロナの穴を埋めることはできるが、それを超えてプラスにはならないと考える。
どちらも一理あるので下値は買われ、上値は利益確定の売りが入るという展開になっている。筆者は現段階では後者に近いが、それは次ページの図でも分かる通り、企業の予想利益の水準に対して株価が高いからだ。企業収益は経済活動の再開に伴ってリバウンドが期待されるが、それでも新型コロナ感染者数の増加は気掛かりで、企業収益が新型コロナ前に戻ると自信を持てるのはもう少し後であろう。
それまでは、米中関係や他国の景気動向がリスクとして残るので、これらのリスクが顕在化するか払拭されると考えられるまでは、株式市場に対して慎重姿勢でいたい。