AI(人工知能)というと「機械が人間より賢くなり、人間の業務が機械に置き換えられる」というシンギュラリティーが話題になるが、現在のAIはもっと実務的な発展をしている。中国・深センでは数千円で使えるAI開発環境が続々登場し、技術の大衆化を推進しているのだ。(ニコ技深センコミュニティ 高須正和)
米国企業の半額以下!
3500円で販売されているAI開発ボード
例えば、2020年の1月7日~10日にラスベガスで行われたCES2020にて、日本から出展した未来ロケット株式会社のManaCamという見守りカメラプロダクト。プロダクトそのものと同じぐらい、開発に使用していたマイコンボード(マイコンそのものに開発用のインターフェイスを加えたもの)について関心を集めていた。
未来ロケット株式会社がManaCamの開発に使用していたIoT開発用のマイコンボードは、深センのベンチャー企業SiPEED社の製品だ。
中心になっているAI実行チップは北京のCANAAN社が開発しているK210というチップ。このチップは米インテルのX86や英ArmのARMとは違う、オープンソースのRISC-Vアーキテクチャで設計されている。今、世界中で注目が高まっているRISC-Vアーキテクチャだが、実際の製品を目にすることは少ない。そのため、CESで注目されたのも理解できる。
また、ワンボードのAI+IoT開発ボードは米Nvidiaなども販売しているが、価格は優に1万円を超える。しかし、SiPEED社の製品は、Nvidiaのボードにはついていない、液晶画面やカメラなどの追加機能も含めて、半分以下の3500円ほどで販売されているのだ。
この価格と技術の両方が、CES来場者達の関心を引いたのだろう。