苦境に陥っているサッシ業界の下位メーカーが、相次いで資本業務提携に乗り出している。
建材業界では折からの景気悪化に加えて、官製不況といわれる建築基準法改正に伴う受注減が先行していたために、落ち込みが長期化していた。サッシのみならず、建材業界の本格的な再編に向けてのカウントダウンともいえそうだ。
第1弾となったのが、3月18日に資本業務提携の協議を開始したサッシメーカーで業界トップのトステムと、同4位の新日軽。トステムの親会社の住生活グループが新日軽株式の30%を取得する方向で交渉を進めている。
関係者によれば「新日軽は業績悪化により、2009年3月期で債務超過に陥ってしまう可能性もあった」という厳しい状況。生産拠点の再編・集約や、それに伴う200人の希望退職を募集する予定で、09年3月期は100億円を超える特別損失により4期連続で赤字に陥るのは必至だった。
次に、3月30日にはシャッター大手の文化シヤッターがサッシ5位の不二サッシ株式を30.1%保有するという資本業務提携で基本合意した。不二サッシはシェアも低く長年、その動向が注目されていた。受注の減少や不良債権の発生で、08年10~12月期は自己資本比率が6.5%まで落ち込んでいただけに、支援が必要なのは明らかだった。
両方のケースにいえるのは、コスト競争力が低い下位メーカーの凋落傾向が強く、少子高齢化社会の日本では景気回復後も、建材市場の成長は見込みにくいということ。将来は下位メーカーは経営統合されるか破綻するというシナリオが有力だ。サッシ以外の建材についても厳しさは変わらない。建材業界においても、かねていわれていた再編が加速しそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 野口達也)