鉄道アナリスト・川島令三氏の新刊書『思わず誰かに話したくなる鉄道なるほど雑学』の中から、鉄道に関するディープなウンチクをご紹介。今回は、昭和の世に大手私鉄でブームとなった「○○カー」のあれこれについてお教えしましょう。
昭和30年代の大手私鉄は
「○○カー」がブームだった
阪神電鉄の「ジェットカー」は昭和33(1958)年に登場している。すでに60年以上も経過しており、現在造られているニュージェットシルバーは4代目である。
駅間距離が短い阪神なので、各駅に停車する普通が遅いと優等列車の邪魔をする。そのためにダッシュ力が強く、かつ一気に停まれる普通用電車が必要になった。そんな車両は、ジェット機が離陸時に一気に速度を上げ、着陸時に一気に速度を下げるのに似ているということで、ジェットカーと名付けられた。
1秒間に時速何キロずつ速度を上げるかの単位として「加速度」がある。初期のジェットカーの加速度は4.5である。だから10秒後には時速45キロになる。同様に、スピードを落とす減速度は5.0である。
近鉄も同様に高加減速の「ラビットカー」を登場させた。高加減速電車は、ウサギがぴょんぴょんと跳ねていく姿に似ているからである。また、日本で初めての2階建て電車を「ビスタカー」として登場させている。