昨年10月の台風19号で甚大な被害を受け、箱根湯本~強羅間で運転を見合わせていた箱根登山鉄道が約9カ月ぶりに運転を再開した。約130年前の馬車鉄道をルーツとし、自然災害で度重なる被害を乗り越えてきた歴史を振り返ってみたい。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
9カ月ぶりに
運転を再開
箱根湯本~強羅間で運転を見合わせていた箱根登山鉄道が7月23日、約9カ月ぶりに運転を再開した。
神奈川県箱根町では、観測史上最多となる総雨量1000ミリの大雨となり、各所で土砂崩れや浸水などの被害が発生した。箱根登山鉄道では全線の約20カ所で倒木やがけ崩れが起き、小涌谷駅の手前に位置する蛇骨陸橋は、線路脇の斜面崩壊によって生じた土砂崩れに巻き込まれて流失した。
被災当初は今年の秋ごろの復旧を予定としていたが、工事が順調に進んだことで、予定より3カ月前倒ししての運転再開となった。復旧費用は約35億円で、鉄道復旧事業補助制度を活用し、工事費の半分を国や神奈川県、箱根町が負担する。