コロナうつ対策は
良い生活リズムから

 コロナうつにならないための“魔法のワクチン”はありません。

 自分の価値観にあった形での出社や在宅勤務ができたとしても、新しい生活様式に適応するのは、時に簡単にいかないことがあります。適応できるまでは誰でもコロナうつになる可能性が高いわけですから、健康的な食事と睡眠をとるなど、規則正しい生活をすることに尽きます。

 一方、出社したくないのに出社する、または、仕事がはかどらない在宅勤務の継続など、不本意ながらの新常態を迎えている人は、もう少し注意が必要です。不安やストレスを感じながらも、新常態にいずれ適応できる人はいいのですが、私の経験上、他社他人の新常態をうらやみ、ねたみ、ひがむ傾向がある方はメンタルヘルス不調、つまりコロナうつになってしまうようでした。

 観劇や卓球など、室内での趣味を持っていた人は、コロナ前のように継続することは難しいようです。その場合は、新しい趣味・好きなことを持つことをお勧めしています。

 好きなことをしている間は、いろいろなしがらみを忘れられますし、楽しい時間を過ごせます。そんな日は、きっとよく眠れることでしょう。趣味はいい気分転換になります。これがコロナうつに対する予防薬や処方箋になります。

 多くの人にとって、緊急事態宣言下の約2カ月間は、これまでの自分の価値観、ワークライフバランス観などについて、見つめ直すきっかけになったようです。まだまだ感染拡大が収まらない現在、自分の価値判断は、ぜひ大切にしてほしいと思います。

 そして、まずはそれぞれが“自分の新常態”に適応することが大切です。しかし、同時に、他人の新常態や新しい価値観も、ぜひ尊重して欲しいと感じます。

 新型コロナウイルス流行に伴う外出自粛や休業要請によって、実際にどれくらいの人が精神面での不調を感じているのか、厚生労働省は全国調査を行う方針のようです。この調査で、不調になる人とならない人の違い、不調にならない人たちに共通することなど、ポジティブ面での要素、“ファクターX”が出てくることを願ってやみません。

◎武神健之(たけがみ・けんじ)
医師、医学博士、日本医師会認定産業医。一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。金融業・コンサルティング業・IT業・輸送用機器業・教育業など20以上の外資系企業で年間1000件、通算1万件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を実施。メンタルヘルス対策なのに、楽しく学べる研修で、不安とストレスに悩まない、落ち込まない技術を広めている。