「うどんイヤホン」とも言われた米アップルの「AirPods(エアーポッズ)」。その登場以来、日本でもじわじわと完全ワイヤレスイヤホンの需要が高まり、世界中のメーカーが音質や機能の面でしのぎを削っている。そこに中国メーカーによる価格競争の激化が加わり、もはや差別化は難しくなっているのではないか。そんなワイヤレスイヤホンにおいて、今後鍵を握るポイントや勢力図をオーディオ・ビジュアル評論家の鴻池賢三氏に聞いた。(清談社 沼澤典史)
廃れる寸前だった完全ワイヤレスイヤホン
『AirPods』で人気爆発
ソニーがウォークマンの発売を機に世界初のインイヤー型ヘッドホン(イヤホン)「MDR-E252」を発売したのは1982年。それから38年を経た現在では、ケーブルを必要としない「完全ワイヤレス」と呼ばれるイヤホンが人気を博している。
これまでのワイヤレスイヤホンといえば、左右をつなぐケーブルやバッテリーがあり、首の後ろに回すネックバンド方式が主流であった。しかし、完全ワイヤレスイヤホンはその左右をつなぐケーブルすら存在しない、文字通りの完全ワイヤレスだ。ちなみに、従来のワイヤレスイヤホンも完全ワイヤレスも、どちらも近距離無線通信「Bluetooth(ブルートゥース)」を利用することで音楽などの音を聞くことができている。
そんな完全ワイヤレスイヤホンが普及した経緯について、オーディオ・ビジュアル評論家の鴻池賢三氏はこう語る。