いつしか前田自身は何もしなくても、月に最低1本は確度の高いネタを会長に流すことができるようになった。しかし、ネタを流して即カネが入るわけではない。そこがネックだった。

「ギャラが支払われるのは、実行部隊が成功したときのみ。空振りに終わればゼロ。それに売り上げの10%と言っても、先方が言う売上金の額が事実かどうかは確かめようがない。本当は1000万円とったのに500万円と過少申告してくる可能性もある。所詮ドロボウ集団ですから、そのくらいのことは平気でやるでしょう。でも、そこで疑心暗鬼になったら精神衛生上よくない。言われた金額を信じて、あとは何も考えないようにしていました」

 前田が窃盗団に関わったのは逮捕されるまでの約2年間。流した情報は数十件に及ぶが、成功報酬が支払われたのは10件にも満たないという。

「まあ、百発百中なんてあり得ませんからね。しかも実際は、それほどもうかったわけじゃない。報酬の最高額は30万円程度。まあ、足元見られていたのかもしれませんが。でも、たまに自分のネタで動いた案件が新聞で報じられたりすると、やっぱりうれしいんですよ。どうだ、俺のネタ、すげえだろって」

 大してもうからないことに気づいたのに、なぜやめることができなかったのか。

「やっぱり欲ですね。次はドカーンと稼いでくれるはずだって期待しちゃうんですよ。何か競馬やっているような気分でしたね。次こそ大穴だ、みたいな」

 しかし、そんな生活もわずか2年で強制終了となる。先に逮捕されたメンバーが口を割り、前田に逮捕状が出たのである。