パトカーと消防車犯罪が起こるメカニズムと多発地域を知ることは、住まい探しの上で重要だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

住まい選びで気を付けたい
「犯罪多発地域」の実態

 住む場所を選ぶ決め手の1つは、治安である。治安が悪いところは住宅地として高く評価されない。とはいえ、犯罪が起こるメカニズムと多発地域がわかると、自分の住でいる環境、あるいはこれから住もうとしている環境とどう付き合っていくか、という方針が決まってくる。

 警視庁が発表する2019年のデータを東京都区部で見ると、犯罪が多い場所の傾向は決まっている。刑法犯罪率が低い地域では、住民の自衛意識は高いだろう。しかし、粗暴犯などは犯罪をする地域に住んでいるとは限らず、犯罪をしに人が集まるところにやって来くるものだ。その意味で、商業施設が集積する場所では自ずと犯罪も多くなる。

 犯罪多発地域を「ホットスポット」という。犯罪発生の原因は犯人の居住地ではなく、犯罪が起きやすい環境にある。ホットスポットとなる条件として、(1)犯罪の標的が多い場所(つまり、集客施設がある繁華街)、(2)警備が手薄な場所(警備状況が厳しい大規模施設ではなく、雑多な集積地で警備が手薄な場所)、(3)夜間に暗がりになるような場所(一般に深夜は犯罪発生率が上がる)がある。だからこそ、地域として警備コストを払い、夜でも明るさを保つことが要求される。

 犯罪の内訳は、万引き24%、自転車盗15%、詐欺9%、暴行7%、傷害3%の順になる。繁華街のように人が集まるところで多くなる犯罪は、暴行・傷害・脅迫などの粗暴犯や詐欺・万引きなどになる。

 一方、人が住んでいるところで起こりやすい犯罪は、侵入窃盗、空き巣、自転車・オートバイの盗難などになる。前者は昼間の人口と、後者は夜間の人口と相関するので、これらを合計した総刑法犯罪件数は昼夜間の人口の合計と相関することになる。刑法犯罪発生件数を人口の合計で割ると、その区の犯罪比率がわかる。