また、午後、見学に出たときは、一瞬わが目を疑った。長距離を走ってきたためにすっかり埃にまみれていた車が、いつの間にかきれいに洗車されていた。ホテルの無料サービスの一つだという。

 まさに、いたれりつくせり。中国のサービスが向上したことを承知しており、よほどのことでないと驚かない私でも、さすがにこれには驚いた。それで、この本社である青島海景花園大酒店に興味をもち、機会を見てそこにも泊まってみた。感動は同じだった。

 のちに、私は日本のメディアでこのホテルを何度か取り上げ、「看板には5つ星とあるが、設備などハードの面から見れば、場合によっては新しい3つ星ホテルにも及ばないところもある。海水浴場や観光スポットにも遠い。それでも青島ではいつも海景花園を選んでいる最大の理由は、中国北方でサービスが一番いいということだ」とほめていた。拙著『中国の心をつかんだ企業戦略~日米欧中の勝ち組に学べ』(集英社)にも、このホテルに関して述べている。

私を覚えていてくれた

 04年を最後に、青島での集中取材を終了させ、それ以降、短期の出張で青島を訪問したことが1、2回あったが、青島海景花園大酒店には泊まらなかった。その意味では、取材がメイン目的の青島訪問は実は8年ぶりだ。自然に8年前に泊まったホテルの今をチェックしたくなった。

 驚いたことに、チェックインしたら、ホテルの幹部がすぐあいさつに来てくれた。私のことを覚えていてくれていたのだ。8年前の私の発言も覚えてくれているのを知り、ひそかに驚きを覚えた。

 ホテルのサービスは変わっていない。依然として宿泊客から高い評価を得ている。ホテル現場の従業員には、私のことを知っている人はもういない。しかし、レストランで食事中に何度か咳をしたのを見て、喉に良いと言われる温かい白木耳のスープを用意してくれた。