コロナ禍と経済悪化という大きな不安定要素が存在する中での突然の長期安定政権の幕切れは、人々を不安にさせるし、人々が社会に不安を感じるということは、日本経済を押し下げることにつながる。それは国内問題に留まらない。日本の信用低下は、国際通貨の1つである日本円の信用低下を招く可能性がある。最悪の場合、日本発の世界恐慌につながることなどあってはならない。

 国際通貨の日本円が、安定政権を持つ国の信用・安全弁として作用していたことを考えれば、コロナ拡大による不安定な状況下で日本円の信用が傷つけられることは、国際社会全体に与えるインパクトが大きい。現在の政権移行期の日本の行動は「世界に大きな影響を与えるもの」と考えて、慎重に取り組む必要がある。

次期政権がコロナ禍と
経済悪化を乗り切る2つの心得

 首相の辞任は、平時の政権交代であれば「政局の問題」として論じられてもよいが、現下の状況では、日本の信用を落とさず、政権交代の経済へのマイナスインパクトを最小限に食い止めることが必要だ。その意味で、次の政権に経済政策の観点から求められることは次の2つだ。

●「変わらないこと」のアピール
●「変わること」への準備

 矛盾するように聞こえるかもしれないが、政権の安定性をアピールするためには、日本が安倍政権時代と変わらず、引き続き統治機構がワークしていることを内外に示さなければならない。それが「変わらないこと」のアピールだ。安倍首相という個人が退場したとしても、日本は組織的に統治メカニズムを動かしているのであり、個人の問題は組織の問題にならないということを、示さなければならない。