やはり菅官房長官がベストでは?

 このように考えると、個人的には、まず安倍総理の意中の後継者と言われる岸田文雄さんは次の総理として最もあり得ないと思います。というのは、そもそも岸田さんは政策的には財務省寄りという評判が以前からあるからです。

 かつ、岸田さんは、コロナ対応での国民への給付金をどうするかという議論の過程で、最初は全国民に10万円と考えていたのに、財務省の“ご説明”を受けて低所得層に1世帯当たり30万円という案を担いでしまったように、自分で信念を持って決断できない傾向があるようです。

 これでは、岸田さんには、厚労省や財務省に嫌がることを毅然とやらせることは期待できないと思います。

 となると、次期総理の主要候補の中では石破茂さんか菅さんのどちらとなるのですが、石破さんについては、確かに人気は高いものの、その庶民的なイメージとは異なり、政策に関しては役所の幹部のように堅い(真面目すぎる)部分がある、経済政策にはそこまで詳しくない、思想的には財務省寄りという評価をよく聞くことが気になります。

 つまり、消去法的に考えると、やはり官僚に強く出ることができて、政権・政策の継続性も担保できる菅さんが次の総理としてはベストとなります。最後は二階幹事長が石破さんと菅さんのどちらを選ぶかにかかっているのかもしれません。

 ちなみに、今度の総裁選では自民党の良識が問われていることを忘れてはいけません。官邸主導の長期政権が終わることもあり、もしかしたら今度の総裁選は派閥政治の復活のきっかけとなってしまうのかもしれません。また、選挙に弱い若手議員は、政策よりも次の選挙で自分が勝てるための“選挙の顔”で選ぼうとするかもしれません。

 コロナ禍という100年に一度の大変な状況の中で、万一にもそのような矮小な思惑で次期総理を選ぶようでは、自民党は国民に信頼されなくなり、廃れていくだけだと思います。それを見極めるためにも、総裁選のプロセスはしっかりと見届ける必要があると思います。

(慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 教授 岸 博幸)