ディスカウント型店舗がかつてない伸びを続けている。コロナ禍の中、これまで小売業で伸長してきたのはドラッグストアや食品スーパーだったが、こうした業態の伸びは一段落。代わって、低価格型の店舗の売上高の伸びが鮮明になっている。これは果たして何を意味するのか。(流通ジャーナリスト 森山真二)
既存店売上高の伸びが著しい
西松屋チェーン
西松屋チェーンは、ベビー・子ども服の専門店チェーンである。このところ、同社の売り上げの伸びが顕著だ。
西松屋の大村禎史会長は「店舗に顧客がいない方がゆったり、ゆっくり買い物ができる。従業員も陳列などの作業がしやすい」が持論で、あえて郊外で“ガラガラ店舗”づくりを志向してきた。
コロナ禍の現在、逆に混みあう店舗よりもゆったり、ゆっくり買い物ができる方がお客にとって良いということになるのだろう。
郊外で店舗にコストをかけず、ローコスト運営の仕組みを築いて低価格で販売するという“教科書通り”の安売り型小売店チェーンも少なくなっているが、西松屋のこうした店舗づくりもあってか、「ニューノーマル(新常態)」の今、既存店の売り上げが高い伸び率を示している。