松浪 私が10年以上国会議員をした経験から言えば、それはありますね。東京の集積と、国会の歴史の集積、密度の濃さには何とも言えぬ魅力があります。特に地方の議員は、毎週地元に帰って田舎と都心を行き来する。地方と東京のギャップに、政治の力がもたらす高揚感を無意識に覚えていると思います。

吉村 すべては永田町と霞が関で動いている、というところがあるから、毎年でなくても国会を副首都・大阪でやることができれば、国会議員が本当に地方分権のことを考える、国家リスクのことを考える国になる。そんな一歩が踏み出せるのではないでしょうか。国会議員の意識改革も重要じゃないですか。

副首都圏・関西の可能性

松浪 あと「民都」の面では、インバウンドも重要ですが、副首都圏としての関西の広域機能を充実させていかなければいけません。そのためには、国と地方の関係を抜本的に見直す必要があります。

 現在の関西地域は、国の出先機関に支配されています。たとえば、一級河川や国道を管理する近畿地方整備局をはじめ、近畿農政局、近畿経済産業局、近畿厚生局など、各省の出先機関が広域行政の大部分を担っているわけです。

 国があって、出先機関があって、都道府県があって、市町村があるという4層構造になっています。

 道州制とは本来、都道府県の合併というヨコの再編よりも、この4層構造を3層構造にするというタテの再編により、国と地方の関係を根本的に見直そうというものでした。私は自民党にいた当時は、自民党道州制推進本部の事務局長を務めていました。志の高い多くの先生がおられましたし、政権奪還前の平成24年には、自民党は道州制基本法までつくっていました。

 だから当時の私は、維新が国政政党化すれば、道州制が実現できるし、憲法改正も実現すると無邪気に信じていました。ただ自民党は政権に復帰すると、人材の入れ替わりや目先のアベノミクスで、中長期的な国家ビジョンを見失い、日本維新の会は分裂を繰り返し弱体化しました。痛恨の極みでした。

 その反省を踏まえると、大阪都構想による府・市の機能再編のノウハウは今後、国と都道府県の機能を再編するときに大きく活かされると信じています。

吉村 出先機関の問題は重要です。もちろん仮に住民投票が可決されても、府市を統合して大阪都を新しくつくるには壮絶なパワーがかかる。だから、そこに集中することが重要ですし、大阪市と大阪府が一つになって、それを安定させるのが先決です。大阪都自体が大改革です。

 だけどその先を考えたら、最初の目指す姿というのは、出先機関を地方で受け入れることです。関西には「関西広域連合」という、他にはない仕組みがあります。国の出先機関を広域連合で全部受け入れて、次の道州制に向けたステップとして、まずは機能することを大阪・関西地域で一回試したらいいんじゃないかなと思っています。

 民主党政権がつくって閣議決定された法律(国の特定地方行政機関の事務等を委譲する法律)はよくできていました。民主党政権がつぶれていなければ、関西広域連合に出先機関の丸ごと移管ができていたかもしれない。そうすれば、他の地域にも広域連合ができていたでしょう。

 内閣法制局が認めて、閣議決定した法律まであったのですから、出先機関の改革は求める。これからの時代、国は外交、防衛とか、国にしかできないことに集中してもらって、それ以外のところは地方に担わせる。そう考えたときには、やはり都道府県の単位は小さすぎますね。

松浪 私自身も大阪府議会から関西広域連合議会に議員として送り出してもらっていますが、そこは関西で大きなコンセンサスをつくっていかなければいけませんね。首都圏に対して、副首都圏としての強い関西をつくる。

吉村 都道府県を再編して道州を設置するなら、全国で8~10ぐらいが目指すべき姿だと思います。ただ道州制なんて簡単にできないのは十分わかっている。だから、まずは出先機関の改革でしょう。今回のコロナ対策でも出先機関はほとんど機能せず、結局は都道府県や市町村に仕事を振るだけで、それ自体は機能的ではなかった。各省ごとにバラバラに存在する出先機関は、もう一まとめにして地方に任せる。関西ならば、関西広域連合に任せる。まずそこが目指すべき姿じゃないかなと思います。

 僕は今、大阪の改革に集中していて、そこには手が回らない状況です。でも大阪都構想の姿がはっきりして、組織が安定してくれば、その先はまず副首都圏・関西が先行して道を切り拓くべきです。全国でなくても、まず関西で試験的にでもやるべきです。僕は都構想の実現に向けて邁進しますが、都構想の「その先」を次世代の政治家に期待します。