売り上げが20万~25万に半減したということは、ほぼ利益はないに等しい。店主の貯金はほとんどゼロ。当初は店の家賃補助の話も知らなかったため、店は休んでいなかったという。

 また、この店の近くには飲食店が皆無なこともあって相談できる同業者もおらず、繁華街の酒場市況の情報も入ってこない。常連客も高齢者が多く、インターネットのリテラシーが低いため、協力金や補助金などの情報も店主に入ってきづらいという事情もあるようだ。

「ようやく緊急事態宣言が解除されたと思ったら、都の要請で8月3日から8月31日までまた22時までの営業に逆戻り。毎回、常連客から『繁華街と同じように、店を○時に閉めた方がいい』っていうのは教えてもらっているけど、協力金の具体的な内容や手続きまではほとんど誰も知らない。自分で調べようとも思っているけど役所まで聞きに行くのは体力的にしんどい。その事情を知っている常連客の若いもん(40代前半)がいろいろ手伝ってくれて、インターネットで必要書類を出して(プリントアウトして)くれるので、それでなんとか手続きすることができている。コロナの第2波、第3波が来て、ずっとこんな思いをするのはさすがにしんどいよ」

店主のこだわりが重荷になり
ご近所の白い目に怯える日々

 2人目に紹介するのは、JR中央線沿線で創業5年の居酒屋を経営するBさん(70歳)。サラリとした白髪と愛嬌のある顔が特徴的で、定年後にこの店を始めたという。

 ハイボール1杯の値段は350円で、客単価は2500円前後。通常営業時間は16~25時で、コロナ以前の毎月の売り上げは40万円ほどだったという。店は駅から10分程度離れているが、商店街に立地しているため、家賃は月額13万円(6~7坪規模)。材料費や光熱費を差し引くと毎月の利益は15万円程度で、そこに年金受給額の約14万円を足して暮らしている。