2012年8月15日、本サイトで「だったら、お前がやれ!」を執筆する国際コラムニストの加藤嘉一氏と、「闇の中の社会学」を執筆する開沼博氏のトークイベントが行われた。トークイベントは2時間に及び、議論のテーマは多岐にわたった。興味深かったのは、2人が日々の活動の中で大切にしている行動規範が、酷似していることが再確認できたことだった。(ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

違うフィールドで活躍する2人
共通するポイントが浮き彫りに

開沼博氏(左)と加藤嘉一氏(右)によるアツいトークがスタート
Photo by DOL

「乾杯!」

 加藤氏の音頭でイベントがスタートした。東京・お台場にあるニフティ運営のイベントハウス『東京カルチャーカルチャー』は、8月15日でお盆のど真ん中にもかかわらず満席。仕事帰りの社会人、学生、年配の方もご来場いただいた。

 本題に入る前に、主役の2人を簡単にご紹介したい。2人は1984年生まれの28歳だが、加藤氏は国際コラムニストとして、開沼氏は社会学者として、すでにその世界では他に類を見ない独特のポジションを築いている。

 加藤氏は18歳で北京大学に留学し、国際関係学を専攻しながら、中国共産党幹部や軍人、ジャーナリスト、学者、学生、市井の人びととの直のコミュニケーションと議論を重ねてきた。そうした積み重ねと、そこから得た独特の取材ソースから、テレビや新聞、雑誌の報道からは決して見えない中国社会を知ろうとする。その取材や経験に裏打ちされた国際コラムニストとしての発言は、日本のみならず中国社会でも大きな影響を持つ。本人は「これからは英語圏にも積極的に発言していきたい」と話している。

 開沼氏も東京大学大学院学際情報学府博士課程に在籍し、社会学を専攻しながら、日本社会の真実をえぐり出す活動に取り組む。不法就労外国人、過激派、偽装結婚プロモーター、売春婦……、これらを現代社会が抱える矛盾が具現化された「ムラ」として捉え、その中にこそ社会のリアリティがあると見る。一方で、東日本大震災が起こる前から、福島県で原発がどのように社会に入り込んでいるかを取材し続け、いまでも月の半分は福島でのフィールドワークに時間を費やす。