一生懸命考えた企画が「面白くない」と一言で却下されると、すごく悔しいですよね。
では、「面白い」企画って何なのでしょうか?
面白いCMをいっぱい作っているクリエイティブディレクターなら答えられるのでしょうか?
博報堂のクリエイティブディレクター/CMプラナーである井村光明さんがダイヤモンド社から上梓した「面白いって何なんすか!?問題」から、一部を引用して考えてみたいと思います。

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「面白い」は「足せる」ものではない

グループインタビュー(グルイン)とは、その商品の購買層である一般の方に集まっていただき直接ご意見を伺う会のことを言います。

それは中高生とのグループインタビューでのことでした。

中高生が大人の対応をしてくれないだろうことくらい大人の僕は当然想像していました。

心の準備をしっかりして、何を言われても大人の対応が取れるのが大人なわけです。

が、実際にグルインをしてショックを受けたのは、むしろ逆のことでした。

「面白くない」「つまんない」

そう言われることは、意外なほど少なかったのです。

中高生は企画が面白いと思った時には「面白い!」と言ってくれましたが、そうでない時に返ってくる言葉は「面白くない」ではなく、「よく分からない」。

「面白い」の対義語は「よく分からない」だったのです。

企画の説明をすると、面白いか面白くないか以前に、とにかく「よく分からない」の洗礼を浴びることになりました。

司会が中高生に「どこがよく分からなかったの?」と聞いても、誰しも自分が「分からないこと」を説明するのは難しいもので、「全体的に」としか返ってこない。

僕は同じ企画を別のグループに説明する時、ゆっくり喋ったり説明の仕方を変えたりもしてみましたが、やっぱり「分かりません」となる。

日常会話でもそうですが、何度話しても「は?」とか「よく分からない」とばかり返ってくると、ディスられるより凹みますよね。

というか、自分で考えたものだから当然僕には分かりやすいものなわけで、どうして分かんねーんだよ! とイライラしてくる。

しかし、目の前でこれだけ「よく分からない」と言われると、ともかく僕の企画の大半は「分かりにくい」ものだったと認めざるを得ません。

「どうせまた、よく分かりません、って言われるんだろうなあ」

と、諦め半分でコンテを説明していた時です。

諦め半分の残りの半分で彼らの表情を見ていると、ふっ、と興味を失う瞬間のようなものがあるのに気づいた。

その瞬間が説明している企画のどこだったかというと、僕が面白くするために工夫したポイントばかり。

つまり、面白くしようと工夫したことが、面白くするどころか却って分かりにくくさせていたのです。