「なぜ、日本ではユニコーン企業がなかなか出ないのか?」――。
この疑問への1つの回答となるのが田所雅之氏の最新刊『起業大全』(7/30発売、ダイヤモンド社)だ。ユニコーンとは、単に時価総額が高い未上場スタートアップではなく、「産業を生み出し、明日の世界を想像する担い手」となる企業のことだ。スタートアップが成功してユニコーンになるためには、経営陣が全ての鍵を握っている。事業をさらに大きくするためには、「起業家」から「事業家」へと、自らを進化させる必要がある、というのが田所氏が本の中に込めたメッセージだ。本連載では、「起業家」から「事業家」へとレベルアップするために必要な視座や能力、スキルなどについて解説していく。

バリューとは、<br />組織の取り組みにおいて優先すべき<br />価値基準のことPhoto by Adobe Stock

良いビジョンの5つの基準

 良いビジョンの基準は、以下の5つあるので参考にしていただきたい。

 1. ワクワク感
 自分自身がワクワクし、そのビジョンのことを考えるだけで毎日仕事がしたくなってしまうような未来像のこと

 2. 巻き込む力
 優れたビジョンとは人や組織の固有のものでありながら、多くの人に「私の夢でもある」と思わせる力を持っている

 3. インサイトフル
 優れたビジョンとは自分が独自で持っている視座やインサイト(本音)がベースになっている

 4. 世界観がクリア
 ビジョンを達成した世界の情景がありありと想像できる

 5. 未来志向/PMF志向
 今の世界に最適化するのではなく、少し先の未来に対して最適化していくというスタンス