経営上のさまざまな課題を
「なかったこと」にしていないか

 このような「なかったことに現象」は、企業では起きていないのだろうか?

 つまり、これまでの企業経営で検討されていたさまざま課題を、そのまま“無かったこと”にしてしまっている…ことはないだろうか、ということだ。

 具体的に言えば、テレワーク、サテライトオフィス、ジョブ型雇用、フリーアドレス制、SDGsの加速、ICT化、ペーパーレス化、オフィスの縮小/移転、評価制度の見直しなどなど、新型コロナウイルスという突然の禍に、検討や対応を余儀なくされたさまざまな課題は、現在も議論が続き、対応が進んでいるのだろうか。

 新型コロナはあまりにも突然にやってきた。

 このため、受け身を取る十分な猶予がなかった企業も多いだろう。一方で、ICT化やペーパーレス化、ジョブ型雇用、評価制度の見直しなどは、従来から存在しており、「慢性化」した検討事項だった企業も少なくないはずだ。

 これらの課題は、新型コロナによって急速に喫緊の検討が必要となったが、緊急事態宣言の解除から6月一杯と9月に入ってからの一時的な新規感染者数の減少期間を経て、現在はどのように扱われているのだろう。

 もちろん、企業活動を進める上で「効果がないもの」や「マイナスになってしまうもの」については、新型コロナによる対応を「一時的な対応」と位置づけ、できるだけ早く「従来の形」に戻せばよい。

 しかし、その際にも「従来のやり方が100%適切だったかどうか」「少しでも改善できる点はないのか」、きちんと検討をした上で戻すことをお勧めしたい。