ホテルWBFグランデ関西エアポート今年10月に開業予定だったホテルWBFグランデ関西エアポート(帝国データバンクが撮影)

関西のホテル業界で大型倒産が相次いでいる。新型コロナの影響が国内で表面化してから、わずか数カ月でなぜ倒産に至ったのか。帝国データバンク大阪支社の情報部長が詳しく解説する。(帝国データバンク情報部 昌木裕司)

旅館やホテルで
増えるコロナ倒産

 7年超に及ぶ第2次安倍政権下ではインバウンド需要が急拡大した。2012年に835万人だった訪日外国人客は、19年には3188万人と7年間で4倍弱に急増。関西でもLCCの就航拡大などを背景に、訪れた外国人客は841万人に上った。

 しかし新型コロナ禍という想定外の事態で状況は一変。2月以降訪日外国人数は急減し、緊急事態宣言以降は日本人の移動も大きく制限された。ホテル業界は宿泊客の蒸発という未曽有の危機に陥り、倒産も急増している。帝国データバンクの調べでは、旅館・ホテル・簡易宿所の倒産件数は7月までで86件発生、すでに前年(72件)を上回るペースで、大半が新型コロナ関連倒産だ。

 特に関西においてはインバウンド消費が経済を支えていただけにダメージは大きく、WBFホテル&リゾーツ(大阪市)、ロイヤルオークリゾート(滋賀県大津市)と複数の大型ホテルの倒産がすでに起きている。