政治の世界では4年に1度、11月の大統領選挙が近づくと選挙戦を揺るがしかねない「オクトーバーサプライズ」について臆測が飛び交う。今年のオクトーバーサプライズは2週間早くやってきた。米連邦最高裁判所のルース・ギンズバーグ判事の訃報がそれだ。実のところ、このニュースはサプライズどころではなく、この1年、既にサプライズ続きでこれ以上のサプライズにはとても対応できないような国にとっては衝撃と言える。純粋に政治的な観点で考えると、ギンズバーグ氏の死は終盤に入った選挙戦にあらゆる面で影響するだろう。目先のことで言えば、選挙戦が新型コロナウイルスの大流行とそれに伴う景気の悪化、人種差別をめぐる混乱の広がりというトリプルパンチに見舞われる中、ギンズバーグ氏の訃報は禍根を残しかねない新たな問題を招く可能性がある。上院共和党トップのミッチ・マコネル院内総務は、大統領がギンズバーグ氏の後任候補を指名した場合、上院で採決を行うとすぐさま表明した。しかし、採決が大統領選の前に行われるか、後になるかについての発言はなかった。