3つの質問に答えられるか

【質問1】世界中のキャッシュが数えられる
海外子会社も含め、どの会社のどの口座にどの通貨で現預金がいくらあるのかを、ほぼリアルタイムで把握できている。

【質問2】世界中のタレントが見えている
どの法人にどのようなスキル・経験を持つ人材が何人いるのか、有能な人材を発掘、育成、登用するために必要な情報がグローバルで整備されている。

【質問3】自社の方向性を明確に示せている
経営を取り巻く諸環境や自社の強み(自社らしさから技術まで)、そして注力する事業について、マネジメント層が意識合わせをし、実際の行動として示している。

 【質問1】と【質問2】は最も重要で根幹的なリソースであるカネとヒトを、【質問3】は企業の存在意義や価値観、そしてリーダーとしての資質について問うています。

 【質問1】にイエスと答える企業は、次の段階として、投資や業績の管理に関するプロセスや指標(KPI:Key Performance Indicator)などをグローバルベースで整備しているでしょう。また、リスクマネジメントやコンプライアンスのレベルも高いのではないでしょうか。

 【質問2】がイエスの企業は、人材の役割と権限を明確にして、ポジションを定義し、「人を大事にする経営」を実践しているといえるでしょう。人材の力を最大限に活用しようとする意思を打ち出し、外国人やマイノリティなどを区別することなく、ダイバーシティが「当たり前」に浸透している企業です。

 【質問3】がイエスの企業は、限られたリソースを正しく配分するための素地が整っているといえます。企業の“根っこ”は上、つまり経営層にあります。経営レベルにおける言動のズレは、現場レベルに解消不能な無用のハレーションを起こすため、方向性と行動の一貫性を危うくします。

 これら3つの質問は、グローバル経営の成熟度をチェックする「リトマス試験紙」です。チェックポイントはこの3つ以外にも数多ありますので、本連載の中でまた説明しますが、これら3つの基礎的な質問にイエスと答えることができないのであれば、ほかへの対応もすべて中途半端になっていると断言できます。

 もちろん、不完全で弱い人間が、組織を成して行うのが企業経営ですから、完璧な経営などありません。それでも、世界で戦っていく(と決めた)企業ならば、これら3つの質問にイエスと即答できるよう「基本行動」は当たり前にできていてほしいものです。