いま、アメリカのWEBシーンでは、ちょっとしたDIY(Do It Yourself)ブームが起こっている。2005年にマサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボが立ち上げた「instructables」は、世界最大のDIYの交流サイトに成長。1日100万ビューを誇るまでになっている。

 その熱は日本にも波及。オライリー・ジャパンが出版するDIYマニア向けの雑誌「Make」の日本版の売り上げも順調で、この12月には、世界最大のDIYの祭典「Maker Faire」が東京で開催される予定だ。

オールジャンルを対象とするDIYの交流サイトmakebooth。電子工作からプログラミング、イラスト、ファッション、音楽、料理などカテゴリー別に作品を探すことができる。

 そんな波に乗って、日本でもDIYの交流サイトが生まれている。そのひとつが、7月にβ版がリリースされ、今月本格運用を始めた「makebooth」だ。

makeboothは、個人が創作した物なら、どんな作品でも告知することができるDIYの展示プラットフォーム。ノンジャンルを売りにしており、あらゆる分野を包括する交流サイトになっている。現在出品されているのは、エレクトロニクス、ロボット、ガジェットなどの電子工作からイラストやデザイン、手芸、雑貨、アクセサリー、音楽演奏、料理など実にさまざま。

 使い方は簡単だ。サイトに登録して自分のブースを作る。そこに作品の画像や動画、テキストなどを掲載し紹介していく。ユーザーはコメントをつけることができ、自分のタイムラインでリアルタイムに見ることが可能。気に入った作り手がいればフォローして、交流もできるSNSだ。

 ユニークなのは、「作品コネクション」という機能だろう。ある作品を見てインスパイアされたり、同じ材料を使って制作した場合、そのつながりが可視化できる点だ。アレンジや二次創作を通じて交流を広げていく工夫が、いかにも日本らしい。

「いままで経験がない人でも、モノづくりを始めるきっかけを作りたい。文化祭やイベント会場のような参加者全員が楽しめる場を作りたい」と開発したかなめい株式会社は、そのコンセプトを語る。

 ユーザーは10代、20代が中心。ノンジャンルゆえの混沌ぶりも見られるが、そのノイズをどう面白く生かしていくかが今後の課題だろう。

 実は、こういったDIYの交流サイトは、まったく新しいサービスというわけではない。2007年に学研が「dododay」を立ち上げるなど、これまでも同様のサイトは存在したが、時流に合わずクローズに至っていた。

 しかし震災以後、節約意識が高まり、モノづくりを通して同好の士と交流したい、という機運も再び高まってきた。それに加え、技術や道具の進歩により、電子工作などのハードルが格段に下がったこともDIY復活の要因だ。

 今後、DIY分野で開拓を期待できるのが、女性向けSNSではないかと筆者は考える。WEBでは、いま若年主婦層をターゲットにDIY情報を提供するサイトが、じわじわと増えているからだ。昨年結成された「DIY女子倶楽部」などは、当初5名だった会員が、現在は300名までに急増しているという。

 アメリカでは、DIYに特化したQ&Aサイト「hometalk」を始め、関連サービスも急増している。誰もが作り手になり、発表ができる時代。日本版のDIYサイトの今後に注目したい。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R)