11月の大統領選で対決する共和党候補のドナルド・トランプ大統領と民主党候補のジョー・バイデン前副大統領の税制案は大きく異なる。どちらが大統領になるかで今後10年で数兆ドルの差が出るだろう。トランプ大統領は、自身の政権にとって最大の立法上の成果である2017年の税制改革法の継続を打ち出している。財政赤字を増大させながら企業と個人を対象に減税を実施した同法について、トランプ氏は18年から19年にかけて経済成長に弾みをつけたと評価(同時期に失業率は4.1%から3.5%に低下した)、2期目もさらなる減税を進めようとしている。民主党は2017年の税制改革法について、景気拡大は2009年から続いていたため、経済浮揚効果はほとんどなかった、減税が必要ない富裕層に行きすぎた支援を行ったと主張している。バイデン氏は同氏が言うところの中所得世帯向けの減税は継続するが、企業や年間所得が40万ドル(約4200万円)を超える世帯には大幅増税を行う意向だ。教育や医療などの社会プログラム向けに10年で3兆ドルから4兆ドルを確保するためだ。バイデン氏の税制案全体の規模についてはさまざまな推計があるが、計画では支出が税収を超えている。これは経済活性化のために財政赤字の短期的拡大を支持していることも影響している。