舌禍を招く人は
言葉の力を養うべき

 そして第三のタイプは、気持ちが大きくなる第二のタイプと無関係ではないが、言葉があまりに軽くなる人たちだ。

 これはお酒でとんでもないことをするほど気が大きくなるわけでも、普段と別の人格になって威張り散らすわけでもないが、普段理性でのみ込んでいる言葉を、押しとどめるその理性がゼロになり、思っていることや抱えていることを全て声に出して読み上げる、そういう、普段の性格が極端化するタイプとも言い換えられる。

 お酒で勢いをつけて愛の告白をしよう、とか思うタイプの人は、明らかに自分のこの性質を利用しているので、つまりはその傾向を持っているということになる。

 勇気を出してキャバクラ嬢にしょうもない口説き文句をぶつける分には構わないし、本当に愛している人に「愛している」と言うのなら時には効果的なんだろうが、上司を目の前に「メスブタが!」と罵(ののし)ったり、「俺はお前らが本当にバカだと思っている」などと披露すれば、結構クビが危ない。

 そもそも愛の告白に酒を使うことが「情けない」と評価されがちなのは、お酒を飲まないと必要なことを伝える度胸と言語化能力が乏しいからだ。

 お酒を飲んで、普段伝えないことを伝えてしまうタイプは、普段の言語生活に問題があると考えた方がいい。

 お酒の席でうっかり本音をぶちまけて後悔したり、秘めていようと思っていた事柄をバラしてしまったり、お酒がないと好きな人を口説けなかったりする自覚がある場合に見直すべきは、お酒の席ではなく、お酒の外の世界での自分の在り方だった、という場合は少なくない。

 そして言葉の力が足りない人の多くは、要するに普段自分の中に取り入れている言葉が少ないのである。

 酒で勢いをつけている暇があったら、本でも読んで勢いをつけた方が、理性の範囲内で言葉の力を上げられると思う。