「まず妖怪や魔物などは、空を飛ぶ、火を吹く、テレポートするなど存在そのものがファンタジーですが、一方のUMAは捕獲されたら生物図鑑に載るような未発見の生物を指します。鬼をはじめとする妖怪伝承やクネクネのような怪談話などとは違い、UMAはあくまで生物学を基本理念として考えるべき存在なのです」(山口氏、以下同)

 この連載が始まった経緯について山口氏は当時をこう振り返る。

「東スポがウェブに進出するタイミングのときに、何か連載を始めてほしいと声をかけていただいたので、『世界中にUMAが何体いるのか数えてみたい』と提案し連載がスタートしました。それから7年がたち、連載は379回目(今年9月20日時点)を迎えましたが、UMAは調べれば調べるほどどんどん新しい情報が増えていくため、なかなか終わりが見えません。この連載もあと20年は続くでしょうね」

 新種の生物などそんな頻繁に見つかるものではないとも思えるが、2011年のハワイ大学のカミロ・モラ氏率いる研究チームの推計によれば、地上生物の86%が未知種。未発見の生物はまだまだごまんといても不思議ではないのだ。

ニーズのあるオカルトは
90%の嘘と10%の真実

 1970年代、90年代後半、00年代のオカルトブームと比べると、今やその人気は陰りを見せており、テレビでオカルト番組が放送される機会も激減した。その原因として、超能力などがかつてのオウム真理教を想起させることや、ヤラセやエセ科学を嫌う視聴者が増えネット炎上につながりやすいことなどさまざまあるとされている。

 しかし、同連載は7年にわたって続いている人気コンテンツだ。その理由は前述した通り、オカルトの中でもUMAは生物学を基本理念としたコンテンツのため、メディアのコンプライアンス的にクリアできる可能性が高いからだという。

「私の連載では、胡散臭いUMAの情報はすべて否定しています。一般的に『オカルト=妄信的』というイメージがあるためか、中には小ばかにした様子で半笑いで私に近づいてくるような人も多いのですが、その原因の一つは、同業のオカルト評論家さんたちが安易にテレビに魂を売り過ぎて、ピエロを演じ続けてきたからでしょう。しかし私はUMAを都市伝説で終わらせるのではなく、生物として確定させていきたい。そのためには、たとえオカルト専門家であっても時にはオカルトを否定する勇気を持つことも大切だし、歴史や生物学、素粒子物理学などオカルト以外の知識も必須です」

 山口氏によれば、連載の読者層は「往年のオカルトファンである50~60代が中心」だが、今の時代に求められているオカルトは「90%の嘘と10%の真実」だという。

 実際に連載で最も反響があった回は「モンキーマン騒動」で、これは2001年にインドで目撃情報が相次いだモンキーマンというUMAの存在を一刀両断した記事だった。

「モンキーマンは、猿に容姿が似ており、鋭利な爪を持ち、1.5~1.8メートルほどの体長だったそうです。しかし、私は連載の中で、この騒動は映画のプロモーションだったのではないかと推察しました。その理由として、まず1953年にフィル・タッカーという映画監督が撮影した『ロボット・モンスター』の中に、モンキーマンに似たキャラクターが登場していました。そして01年にフィル・タッカーの息子が父親の傑作をリメークすると発表しましたが、その時期とモンキーマン騒動の時期がほとんど一緒だったからです」