人気動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を巡る米中の攻防がどのような形で決着するにしろ、その陰で意外な「勝者」が誕生しつつある。フィラデルフィア郊外に本社を置く謎めいたトレーディング会社だ。オプション取引大手のサスケハナ・インターナショナル・グループは創業30年来、表舞台に立つことをできるだけ避けてきた。クオンツモデルとコンピューターを駆使して、さまざまな市場で超高速スピードの高頻度取引を手掛けるのがサスケハナの中核事業だ。このような企業は、1日に数千単位の小規模取引を手掛けることで利益を確保しており、売買する証券の保有期間は多くがミリ秒単位と極めて短い。だがTikTokだけは違う。サスケハナは大きな賭けに出て、過去数年にわたり保有し続けている。