瀬戸大也選手が、自ら「東京五輪内定」を辞退すべき理由窮地の瀬戸大也選手 Photo:Clive Rose/gettyimages

年間数千万円の収入も好感度も失った競泳界のプリンス

 瀬戸大也選手へのバッシングが止まらない。週刊新潮(デイリー新潮)の不倫報道をきっかけに、瀬戸大也選手はこれまでの爽やかなイメージを失い、主な収入源や公的な立場もほぼすべて失いつつある。

 9月30日には所属先のANAと瀬戸が「契約解除で合意した」と発表された。「合意した」との表現だが、要はANAから「契約解除」の判断があったということだろう。瀬戸はこれに反論も、継続を求めることもできなかった。本来の契約は来年3月まで。これは今夏に開かれるはずだった東京五輪2020との兼ね合いもあっての期限だったろう。1年延期が決まった現状では、来年3月には少なくても1年の契約延長は確実だったろう。そしてもちろん、東京五輪で期待どおりの活躍をすれば、今後長期間の契約も望まれただろう。

 「所属先」となっているが、ANAが独自に水泳チームを組織しているわけではない。瀬戸はかつて早稲田大学のプール、現在はナショナルトレーニングセンターのプールを練習拠点にしている。事実上、ANAはメインスポンサー。この契約で瀬戸は、年間数千万円の報酬を得ていたと報じられている。計算すれば、億単位の収入を失ったことになる。つまり、競技を続ける上で、重要な生活基盤と強化予算の両方が消えてしまった。

瀬戸大也出演のCM動画は公式サイトから次々に削除

 ほかにも、夫婦で出演していた味の素のテレビCM動画「勝ち飯」が同社公式サイトから削除され、男性用ひげそり「ジレットスキンガード」のCMも公式サイトで非公開となったという。スポンサー契約を結んでいる複数企業との契約も打ち切られる公算が大きい。しかも、違約金が請求される懸念も指摘されている。

 瀬戸自身は、同じく9月30日に日本水泳連盟を訪れて謝罪し、競泳日本代表の主将を辞退する意向を伝えた。また、日本オリンピック委員会(JOC)には「JOCシンボルアスリート」の契約解除を申し入れ、受理された。これは選ばれたトップ選手が肖像権をJOCに預け、JOCの最高位スポンサーがテレビCMなどに起用できる制度だ。瀬戸を除くと、現在は、内村航平(体操)、上野由岐子(女子ソフトボール)、川井梨紗子(女子レスリング)、宇野昌磨(フィギュアスケート)ら14人が契約している。選手は年間1000万円から2000万円の報酬を受け取るとされている。今回発覚した出来事がなければ、向こう数年間は継続されたであろうJOCシンボルアスリート契約の解消で、こちらも1億円を超える収入が雲散霧消した。