1つ目に紹介する事例は、ある市立小学校での出来事だ。

「その小学校では、4階のトイレの窓からトイレットペーパーや洗濯ばさみ、ぞうきん、手袋などが、窓のそばの道路に投げ捨てられるという事案が発生し、地域住民にも大きな衝撃を与えました。いたずらを行ったとされる5年生の児童3人を突き止め、問いただそうとしましたが、彼らは最後までシラを切り通しました。おそらくは私たちに現場を見られているわけではないので、ごまかせると思ったのでしょう。この3人のうち1人は実行犯ではなく一見すると『よい子』でしたが、陰で人を操るタイプでした。他の児童たちも彼らが犯人だと知っていたようですが、報復を恐れてかほとんど誰も名前を言いませんでした」(増田教授、以下同)

 2つ目に紹介するのは、首都圏にある小学校の特別支援学級(支援が必要なハンディがある児童がいるクラス)のケースだ。

「その学校の通常学級に通う児童が、特別支援学級のハンディのある児童に対し、いじめを日常的に行っており、『お前、なんで生きてんの?』『死ねよ』など信じられないような罵詈(ばり)雑言を浴びせていました。このケースの場合もいじめを裏で主導していたのは、いわゆる『よい子』タイプの児童。その子はとても頭がよくて、決して自分は実行犯にならず、授業中に騒ぎそうな子をたきつけては学級崩壊するように働きかけたりもしていました。私が『なんでそういうことをするの?』と尋ねてみると、児童は『塾で勉強しているから授業を聞く必要がないし、学校の授業を壊しちゃえばみんなが勉強できなくなって(相対的に)自分の評価が上がるから』と応えました」

前近代的な学校スタンダード
抑圧に耐える児童と教員

 もっとも、「よい子」を振る舞っている児童全員が、前出のケースのような“裏で糸を引く主犯格”タイプというわけではない。ほとんどの児童は別な傾向があるようだ。