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インターネットが誕生した頃から繰り返されてきた誹謗中傷。最近になってようやく、いよいよ対処しなければいけない問題だと捉えられてきた節がある。ネット上での誹謗中傷とは一体、どのようなダメージを人に与えるのか。(フリーライター 鎌田和歌)

ネットはアングラから主流へ
民事訴訟や刑事事件が増加

 便所の落書き――。かつてネット上の書き込みは、そのように揶揄されていた。2000年代の中旬頃までは、まだネットは「アングラ(アンダーグラウンド)」であるという感覚が強かった。

 しかし、スマートフォンが登場し、さまざまなSNSが人を集めるようになり、今やインターネットはアングラどころか主流になりつつある。子どもの「なりたい職業ランキング」にYouTuberが入ることや、ネット広告の売り上げがテレビメディアを超えたことなどを挙げるまでもなく、インターネットはもはや誰にとってもなくてはならないものである。

 そうなってくると、かつてのようにネット上の書き込みを「便所の落書き」とも言っていられない。多くの人が見て、その情報を信じ、瞬時にシェアしていく。一般人であったとしても「拡散力」のある時代となった。そして一度拡散された情報を完全に消すことは、ほとんど不可能といえる。それが間違った情報であっても、ひどい誹謗中傷であっても。

 ここ最近、ネット上での誹謗中傷についていくつかのニュースが流れた。

 ひとつは女優の春名風花さん(はるかぜちゃん)が民事訴訟で投稿者を訴え、315万円の示談金を得たニュース。また、ブロガーのはあちゅうさんも、容姿をおとしめる内容などを書き込んだ投稿者の開示請求を進めていることを明らかにしている。

 上記は誹謗中傷を訴える民事訴訟であるが、ネット上での脅迫などが刑事事件になることはこれまでもあった。

 最近では、行方不明となっている女児の母親に対して「殺すぞ」などとメッセージを送った31歳の男が脅迫の疑いで逮捕された。これ以外にも企業や個人への脅迫が刑事事件となり逮捕者が出たケースを記憶している人も多いだろう。

「脅迫」には当たらない「誹謗中傷」への対応は、これまでなかなか難しいと考えられていた。どの程度であれば誹謗中傷として認められるのかの判断が一般人からはわかりづらく、また匿名からの中傷である場合には開示請求を求めた上で裁判を起こすことが必要という二重の手間が必要となる。訴えたとしても裁判で認められない可能性も当然あり、訴える側にとっての精神的、金銭的負担が大きいからである。