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インキュベーションの虚と実

大学は起業家に必要なものが揃うスゴい土壌だ!
自分次第で新たな展開が実現する正しい大学の使い方

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【第11回】 2012年9月24日
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 そのストーリーはこうだ。超交流会の常連メンバー藤田功博氏(経済学部出身、のぞみ社長)が京都でのぞみが運営する「ケータイ国際フォーラム」への登壇者の推薦を、超交流会で知り合った勝屋氏に依頼。IVSを主催するインフィニティ・ベンチャーズLLPの共同代表パートナー小野裕史氏を紹介してもらった。イベント後、藤田氏は小野氏から「次のIVSは宮崎でなくほかで開催するので、京都をプッシュしてみたら」と言われ、IVSのリーダーである小林雅氏(インフィニティ・ベンチャーズLLP共同代表パートナー)に京都開催の意義や面白さを伝えたところ、京都開催が実現した。

 京都の魅力を伝える事業を行う文系の藤田氏自身がITに興味を持ち、融合させていこうと考えるようになり、これからの時代を担うベンチャー起業家に、京都の魅力を知ってもらうことが中長期的にとても意味があると考えるようになった原点は、超交流会にあるという。

 藤田氏は、文科系でも超交流会のようなことができないかと考え、この9月8日に講演と交流のワンダーランド「京大フェス2012」を京都大学渉外部とのぞみの主催で行った。

 超交流会実行委員長で京大情報学同窓会会長の今村氏は、「縁」を強調し、「ふたつながり先」への発展を期待していると言う。東京でのバラバラで閉じ気味のコミュニティ群とは異なるカルチャーで、ゆるさとパッションを併せ持つ面白い人の輪が、超交流会から様々な方向に伸び広がっている。多様な人、異業種とのつながりから生まれる予想外の展開が生まれるのも超交流会のよさだ。

 寂しい集いが、殻を破り枠を取り払ったことで、自己増殖するコミュニティとして生まれ変わった。さらには、そこに関わる人々にも変化をもたらしているのだ。大学を起点として、大学を超える。大学とそこに関わる人々のポテンシャルを解放する一つの好例だ。

京都でのTEDxKyoto
超交流会と京都の大学

TEDxKyotoは9月16日に京都大学で開催された

 最後に、大学を活用する事例として「TEDxKyoto」を紹介しよう。

 そもそもTEDについてご存知だろうか。NHKの番組「スーパープレゼンテーション」でも知られるが、様々な分野のオピニオン・リーダーが集まり、アイデアをライブでプレゼンテーションする米国カリフォルニアで生まれたイベントだ。そのTEDのライセンスを受けた京都で初のイベントTEDxKyotoが、2012年9月16日に京都大学で開催された。

 120人余りのボランティアとスポンサー等の支援者たちが創りあげたTEDxKyotoは素晴らしいものだったが、超交流会コミュニティとの縁も深い。

 わずかながら筆者も助力差し上げた。2011年10月、筆者がBRIDGEとして応援している「TEDxTokyo yz(※)に、はてな社長の近藤氏に声を掛け参加してもらった。そのパーティで、京都でTEDxをやりたいという近藤氏を、TEDxTokyoのファウンダー二人(日本でのTEDxを支援)に紹介することができた。そして、近藤氏はTEDxKyotoのコー・ファウンダーとなったのである。

(※)日本初のTEDxイベントは2009年に開催されたTEDxTokyo。そのコミュニティから10~30代にフォーカスしたイベントがTEDxTokyo yzであり、2010年に生まれた。TEDxKyotoの立ち上げにTEDxTokyo yzのファウンダーはじめTEDxTokyoコミュニティのメンバーが支援をした。

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本荘修二

新事業を中心に、日米の大企業・ベンチャー・投資家等のアドバイザーを務める。多摩大学(MBA)客員教授。Net Service Ventures、500 Startups、Founder Institute、始動Next Innovator、福岡県他の起業家メンター。BCG東京、米CSC、CSK/セガ・グループ大川会長付、投資育成会社General Atlantic日本代表などを経て、現在に至る。「エコシステム・マーケティング」など著書多数。訳書に『ザッポス伝説』(ダイヤモンド社))、連載に「インキュベーションの虚と実」「垣根を超える力」などがある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

「インキュベーションの虚と実」

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