米ソ間の東西冷戦になぞらえて、現在の米中関係を「新冷戦」と呼ぶ向きがある。これは冷戦なのか?世界はまた二つの陣営に分かれていくのか?特集『佐藤優の地政学5問』(全6回)の#2では、時代を超えた2度の対立の構図を、佐藤優氏が明快に読み解く。(構成 ダイヤモンド編集部)
米中対立を「新冷戦」と呼ぶのは、見通しとして甘過ぎる。具体的には「熱戦」、つまり米軍と中国軍が武力衝突する可能性を排除できない。それは南シナ海のような限定的な地域におけるものになるだろうが、熱戦の可能性をある程度覚悟する必要がある。
そもそも冷戦というのは、「戦争にならない、武力衝突が起きない」という意味だ。東西冷戦では、米国とソ連の間の軍事力が均衡していたから、戦争には至らなかった。しかし今の米中関係は違う。