佐藤優の地政学5問#5Photo by Yoko Akiyoshi,Tetra Images/gettyimages

変化が多過ぎて未来を予想するのが難しいときは、歴史の事実に謙虚に学ぶことが有効だ。特集『佐藤優の地政学5問』(全6回)の#5では、佐藤優氏が現在の状況を、日清戦争前夜に近いと喝破している。日中、朝鮮半島、米国の既視感ある立ち位置とは。(構成 ダイヤモンド編集部)

 日本を取り巻く現在の局面は、歴史を振り返るなら日清戦争(1894~95年)の頃に近い。日清戦争は、清国が日本の国力を見誤り、「自国が上だ」と思い込んだことで開戦に至った。当時、大東亜国際法という、英米のルールに従う必要はないとする考え方があったが、これは今の中国の発想と非常に似ている。今の中国は当時の日本に近いが、日本は当時の清国に似ている。

【佐藤優への問い5】地政学分析で今を「日清戦争前夜」と語る真意は?下関条約(1895年)の様子。日清戦争の講和条約で、清国は朝鮮の独立承認や遼東半島・台湾・澎湖列島の割譲、重慶・杭州・蘇州の開港とそこでの日本の企業権の承認などを約束した(Photo:DEA/G. DAGLI ORTI/gettyimages)