佐藤優の地政学5問#4Photo by Yoko Akiyoshi,Tetra Images/gettyimages

米国のルールに従うのか、中国のもたらす利益を取るのか――。米中対立が激化する中、日本の政府や企業にとっては、踏み絵を踏まされるような局面が増えてきた。特集『佐藤優の地政学5問』(全6回)の#4で佐藤優氏は、この難しい局面の勘所が「バカのふり」にあると大胆に説く。(構成 ダイヤモンド編集部)

 米中対立が激化する一方だが、今の日本の状況を、サラリーマンの立場に置き換えてみよう。

 ある日、上司がどう考えてもむちゃな指示をしてきた。そのときに「部長、それはコンプライアンス違反ですよ」と真っ向から指摘したらどうなる?「ご苦労さん。君はもういいよ」となる。

 こういうときは、バカのふりをするのが一番。「レベルが高過ぎて、私には分かりません」「私ではとても力が及びません」と言って受け流す。議論を取りあえず避けて、上司が冷静になるタイミングを待った方がいい。

【佐藤優への問い4】なぜ米中板挟みの日本に「バカのふり」を勧める?2019年のG20大阪サミットで、中国の習近平国家主席(上)と米国のトランプ大統領(下)と握手する安倍晋三首相(当時)。日本は米中双方と良好な関係を結ぶ必要がある。 Photo:Pool/gettyimages