決算書分析とは?

 以上の知識があれば、容易に決算書を分析できます。

 総資産利益率(ROA)と呼ばれる経営指標をご存知でしょうか?

 これは一定期間の成果である経常利益を総資産(流動資産+固定資産)合計で割った値のことで、現金の効率的運用をチェックする上で大切な指標です。ROAが高いほど、会社は効率的に現金を運用している、と言えます。

 流動資産も固定資産も現金が形を変えた姿です。もし銀行預金の金利程度しか利益を獲得できないのなら、銀行に預けておけばいいわけで、リスクをとってビジネスをする必要はない、と言うこともできます。

 本文のハンナに話を戻しますと、リストラを進めるということは、現金の増加に貢献しない資産の処分を意味します。目指すところは、総資産利益率(ROA)の向上です。そこで、最初のステップとして、不要資産をバランスシートから切り離し、分母の総資産を小さくしたのです。

 もうひとつの重要な指標に、自己資本利益率(ROE)があります(経常利益÷自己資本)。会社の自己資本がどれだけの利益を上げているか、言い換えれば、会社は固有の資金(自己資本)をどれだけ有効に使っているか、を表す指標です。

 バブルがはじける前、多くの日本の会社は、自己資本は少なく、資金の大半を銀行借入金(他人資本)に頼っていました。自己資本が少ないと、ROEは高めに計算されます。失われた10年間を振り返れば明白であるように、自己資本が少なすぎる会社は業績変動のリスクが大きくなります。

(次回は10月24日更新予定です)


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