病気を遠ざける「免疫力」は腸で作られるため、腸内環境をよくする食品をとることが重要、というのは、81歳の免疫専門医である藤田紘一郎氏の弁。いわく、健康長寿のために勧める食品には、野菜、発酵食品、肉や魚の骨から出るだしなど。それらの食品をスープでとるメリットは、体調が悪くても年をとっても体に吸収しやすいことです。
ウィズコロナの時代を生きるすべての人に手に取っていただきたい最新刊『免疫専門医が毎日飲んでいる長寿スープ』では、著者自身も毎日飲んでいる究極のスープはじめ、おいしく続けるための73レシピを紹介している。
この連載では、自分で免疫力を高める食事の法則や、著者が勧める『長寿スープ』のレシピなどをお伝えしていきます。

野菜で免疫細胞が活性化、
がん予防の可能性も

 長寿の基本は、病気にかからないこと。そのためには、食習慣がとても大事です。左ページの図は、アメリカ国立がん研究所が発表した「デザイナーフーズ・ピラミッド」。いまや2人に1人がかかるといわれる身近な病気、がんの予防に効果があると考えられる食品を並べたものです。共通するのは「フィトケミカル」と呼ばれる成分を含むこと。フィトケミカルはポリフェノールやカロテノイドなどの総称で、植物性の食品が持つ機能性成分です。体内で悪さをする活性酸素を、強い抗酸化力で抑え込む働きがあります。

 もうひとつ重要なのが、「食物繊維」です。食物繊維をしっかりとることで、体内に老廃物がとどまることなく排出され、腸内細菌のバランスが善玉菌優位となり、免疫力アップにつながります。また食物繊維には、血糖値やコレステロール値の上昇を防ぐ働きも期待できます。

 食物繊維には不溶性と水溶性がありますが、スープなら、水溶性食物繊維もムダなくとれるというメリットがあります。

長生きするために大事な当たり前のこととは?

腸が健康になり、
糖尿病や肥満にも

 食物繊維は、腸を健康にする「短鎖脂肪酸」を増やすのにも役立ちます。短鎖脂肪酸は、腸内の細菌が食物繊維を分解発酵することで生じる物質で腸内細菌を増やしたり、腸粘膜を修復したりするのに働くだけでなく、腸壁から吸収されて血液中に入り込み、細胞が脂肪を取り込むのにブレーキをかける役割も果たします。つまり、肥満を防ぐ働きも期待できるのです。短鎖脂肪酸はインスリン分泌を促すインクレチンを産生するため、糖尿病予防にもひと役買ってくれます。食物繊維をしっかりとると、こんなメリットもあります。

 本原稿は、藤田紘一郎著免疫専門医が毎日飲んでいる長寿スープ』の第1章からの抜粋です。免疫専門医が毎日飲んでいる長寿スープ』では、腸内環境を整えて免疫力を高める「長寿スープ」のレシピがたっぷり収録されています。ウィルスが蔓延するこの秋冬、免疫力を高めて病気にならない体を手に入れてみませんか?(次回へ続く)

長生きするために大事な当たり前のこととは?
藤田紘一郎(ふじた・こういちろう
1939年、旧満州生まれ、東京医科歯科大学医学部卒、東京大学大学院医学系研究科修了、医学博士。テキサス大学留学後、金沢医科大学教授、長崎大学医学部教授、東京医科歯科大学教授を経て、現在、東京医科歯科大学名誉教授。
専門は、寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。1983年、寄生虫体内のアレルゲン発見で、日本寄生虫学会小泉賞を受賞。2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で、日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉賞を受賞。
おもな著書に、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(大和書房)、『脳はバカ、腸はかしこい』(三笠書房知的生きかた文庫)、『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『人の命は腸が9割』『ヤセたければ、腸内「デブ菌」を減らしなさい!』『免疫力』(以上ワニブックスPLUS新書)などがある。